所得拡大促進税制の改正について/大原税理士事務所＠福岡市

平成30年度税制改正において所得拡大促進税制が改組され、「賃上げ・投資促進税制」(大企業向け・措法42の12の5①)と「所得拡大促進税制」(中小企業向け・措法42の12の5②)に区分された。

制度では共通する要件等もあるが、それぞれに特化した要件等があり、複雑で理解しにくいといった意見も良く聞くが、平成30年8月8日に中小企業庁から中小企業向けのガイドブック及びQ＆Aが公表されたため一読されたい（ガイドブックは画像にリンクしています）。

また、上乗せ措置に係る要件である「教育訓練費要件」では、大企業と中小企業で異なる定義が分かりやすく説明されている。中小企業向けの税額控除率の上乗せ要件である「経営力向上要件」では、ガイドブックで必要な手続きをステップごとに説明しており、上乗せ措置を受けるために必要なことが分かる。

特に、これまで詳細が明らかにされていなかった「経営力向上要件」について記述があり、経営力向上による経営の向上の程度を示す指標についての「現状値」と経営力向上報告書に記載された適用年度における「実績値」を比較して、適用年度の方が増加していなければならないこと等が示されている。

ガイドブック及びQ＆Aは今後アップデートされることが想定されるため、制度の適用を検討している場合は最新情報をホームページで確認されたい。

今後は、利益の出ている会社は雇用保険加入の従業員に対し毎年2％程の賃上を行うと、法人税の15％を税額控除されることになります（法人税額の20％が限度）。働き方改革や人手不足の時代背景より、利益の出ている会社は積極的にこの税額控除を活用して頂き労働力確保に努めて頂きたい。

次回は税額控除の上乗せ措置の1つである「経営力向上要件」について説明させていただく。